前のめりに生きる。一歩踏み出せば決してコケはしない。

生きるって大変、でも、だからこそ素晴らしい!

だるまさんが転んだ6回目 A COLOR IS A COLOR IS A COLOR IS A COLOR.

 
「何も悪いことしてない」
 
しんと静まり返った教室に響いたその声が、
僕とあの子の出会いだった。
 
新調した学ランのカラーが首に擦れて痛い。
そんな、高校生になってすぐのことだ。
同じクラスとはいえまだ知らない顔ばかりで、
一塁ランナーをチラチラと牽制するピッチャーよろしく、
なんだか落ち着かない高校一年生の春。
 
僕は入学早々、体育教師に目をつけられていた。
身だしなみが悪いわけでもないし、悪いことをするわけでもない。
でも、「なんかあいつ気に食わないよね」と思わせるオーラを発していたのだろう。
 
記念すべき保健の授業第一回目。
「おい◯◯、お前答えてみろ」
と、名指しで急に当てられる。
体育教師は僕が居眠りをしていると思っていたらしく、
「分かりません」→「なんでだ」→「寝てましたすみません」→「このクズが」
という、気に食わない生徒をぶん殴る真っ当な理由を、生徒みんなに見せつけたうえで手に入れたかったのだ。
が、僕はふつうに起きていたので、ふつうに答えてしまう。
答えは合っているのに、「なんだその反抗的な答え方は」と教師は返し、殴ってもいいよね雰囲気を作る。
入学して間もないから、ここで見せしめとして殴っとけば反抗的な態度にでるやつはいなくなると考えていたのだろう。
僕は、教室で強烈なビンタを喰らったあと、武道場まで引きずられ、そこでマウントポジションをとられ殴られ続けた。
「お前、俺のことバカにしてんだろ。なあ?」と言われながら殴られる。
僕はちっともバカにしていなかったのだ。興味すらない。
それをバカにしているというのであれば、僕をバカにしてもらって構わない。
そうやって僕はよくわからないまましばらく殴られ続け、ボロボロになって再び教室へと連れ戻された。せっかく新調した制服もくちゃくちゃだ。
 
「お前のせいで授業が台無しになったんだ。みんなに謝れ」
と、僕はみんなの前に立たされた。
まだ話したことないクラスメイトたちの視線が一斉に注がれる。
しーんと静まり返った教室でぽつんと立たされた、ボロボロになった僕にだ。
 
おめーが勝手に止めてボコってたんじゃねーかと、僕は心のなかでとっても怒っていたのだけど、どちらにせよクラスのみんなには関係のないことだ。謝ろう。何より、このバカげた茶番を早く終わらせてほしかった。その瞬間だった。
 
「何も悪いことしてない」
 
そう言って、一人の女の子がすっと立ち上がった。
もちろん、話したことのない子だ。
 
「何も悪いことしてません。授業続けてください」
 
体育教師はさすがに女の子に手をあげるわけにもいかず、
「許してくれるそうだ。よかったな」とばつの悪そうな顔で言った。
僕は、黙って席に戻り、食い入るように保健の教科書を見つめ続けた。
そうしないと、その子の勇気と優しさに泣いちゃいそうだった。
 
あれから十数年。あの子は、教師になった。
間違いなく素敵な先生だ。
僕があの子の生徒だったら、30年くらい留年しちゃいたい。
 
今年も、あの子から誕生日おめでとうの手紙が届く。
僕とあの子は、偶然にも誕生日が同じ日だったのだ。
同じ誕生日を祝うお手紙を、毎年送ってくれる。
「何も悪いことしてない」と、僕が理不尽な理由で頭を下げるのを阻止してくれた16歳のあの年から、毎年かかさず14年間、ずっとだ。

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今年もとびっきり素敵な言葉を贈ってくれた。
一冊の小さなノートに、1ページ1ページ、
心のこもった素敵な言葉たちを綴ってくれた。
 
と、いうわけで、僕もお返ししなきゃと思い、お手紙に加えて一品考える。
僕はお手紙を返せる年もあれば返せなかった年もある。ので、今年は何か。
 
 
プレゼント買う金なけりゃ作るか盗むかだぜ
 
 
と、いうことで、先日撮ったコスモスの写真を使って、
言葉ではなくデザインで気持ちを伝えるものを作る。
いや、素人なので、これがデザインと呼べるのかはさておき。
 
材料をもって、友人の美容室にいく。
【第51歩BIKKURI GIKKURI】に登場し、ぎっくり腰になった僕を優しく介抱してくれた彼のお店だ。お店の上の部屋も作業場兼物置として借りているもんだから、そこを使わせてもらおうと思ったのだ。汚れそうな作業もOKなのだ。
 
お店に行くと、めずらしくお客さんをカットしている最中だったので、
「いらっしゃいませ。ごゆっくり」
と、華麗にスタッフの一人かのようにスタスタと通過する。w
 
カットが終わって様子を見に来た美容師の友人に、「ごゆっくりじゃねーよ誰だよお前」と笑いながら怒られる。
 
友人「それ、何してんの?」
僕「うるせえなほっとけよ」
友人「いや、俺の部屋なんだけど」
僕「……。ごめん。恥ずかしいから聞くなよ」
 
 
友人は、わくわくしながらこちらの様子をじっと伺っている。

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僕「なに?」
友人「いや、べつに。おしゃれだなと思って」
僕「うるせーなどっか行けっつってんだろ」
友人「俺の部屋だっつってんだろ」
僕「ごめん」
 
という会話を6回くらい繰り返してる間に完成。
 

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タイトル「A COLOR IS A COLOR IS A COLOR IS A COLOR.」
 
そのタイトル、ガートルード・スタインの「A rose~」の詩もろにパクリじゃねーかと思った人。
ええ、その通りです。ww
 
試しに、友人の美容室の壁に飾ってみる。
うーん、壁掛けじゃなく、フロア置きしてもらったほがいいな。
トイレとかでもいいかな。

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と、友人がその様子をみて、なんだかもじもじしている。
友人「ああ、そういうことか」
僕「何が」
友人「いや、なんでもない」
僕「んだよ気持ちわりーな。言えよ」
友人「それ、めっちゃいい感じやな」
僕「え、うん、ありがと」
友人「いや、その、こちらこそありがとう」
僕「?」
友人「俺に作ってくれたんやろ?」
 
 
僕「んなわけねーだろバカ」
 
 
友人「・・・」
僕「・・・」
 
友人「マジで帰れよ」
 
 
ww。
まいったね。
くっそおもろかった。
そりゃ勘違いもするよね。
場所貸してくれてありがとう。
君には君に、ちゃんとお礼するからね。
とびっきりのこの空間に合った面白いもんを額に入れてプレゼントするからね。
 
「額」はひけらかすためのものがあったとしても、
「学」はひけらかすためのものではない。
 
抑えきれない灰色の自尊心をひけらかし、羨望の眼差しを受けるべき存在だと、
得意げに額を持ち歩き見せつける人がいる。
そんな「額」に入れた「学」は、20円でも僕はいらない。
そんな人とのつながりも、20円でも僕はいらない。
学を積んできた人は本当に立派だと思う。
でも、だからといって積んでいない人をバカにするべきではない。
もっとほかに、何かを懸命に積み上げてきた人もいるのだから。
 
こんな1円の価値もないオリジナルの額を受け取り、
値段なんてつけられないほど喜んでくれるであろうあの子。
無価値なものに最上の喜びをもって計れない価値を見出してくれる。
 
お誕生日おめでとう。
たぶん、君はこれから先何十年も、
毎年素敵なお手紙をくれるのだろう。
お願いだから、僕よりもたくさんの誕生日を迎えてください。
お願いだから、君から手紙の届かない誕生日なんて来ませんように。
あと800年生きてください。
 
色はいつだって自分が決めるんだ。
自分で決めた色じゃなきゃ、色なんて無意味だ。
  

 

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