前のめりに生きる。一歩踏み出せば決してコケはしない。

生きるって大変、でも、だからこそ素晴らしい!

思い出シリーズ おばあちゃんのスキップ

 

郵便局へ行こうと、バイクにまたがるAM11:00。
 
エンジンかからず
 
まいったな。
今日の消印で出さなきゃいけない原稿なのだ。
郵便局へはバイクで30分はかかるため、徒歩という選択はない。
と、いうことで、バスに乗ることにする。
1時間半に1本しかないのだ。
 
運よく、あと15分ほどで来るらしい。
このバス停でバスを待つなんて、25年ぶりくらいだろうか。
おそらく、幼稚園のときおばあちゃんと乗ったのが最後だ。
バス停にある、ボロボロのベンチのホコリを払って腰かける。
あの頃と同じベンチかどうかは覚えていないのだけど、それでも確かにその時は、
しっかりと僕の小さな手を握ってくれるおばあちゃんが、確かに隣にいたのだった。
 
僕のおばあちゃんは、田中眞紀子に激似のママンを少し優しく丸っとした感じで、とても優しいおばあちゃんだった。もし「優しさ」というものに形があるのなら、おそらくおばあちゃんはまさしくその形だったのだと思う。
 
おばあちゃんの口癖は
「なーくんはこれからたくさん勉強できるんよ。ええねえ。楽しみやねえ」だった。
算数の足し算を教えてくれたのもおばあちゃんだった。
「10繰り上がったら、忘れんようにぽんっとおでこを叩きな?」
そう教えてくれたおばあちゃんのおかげで、僕は小さい頃いつもおでこが赤くなっていた。w
 
スキップを教えてくれたのもおばあちゃんだった。
港にたくさんいるハトにエサをやりにくのが、僕とおばあちゃんのデートコースだった。道中の商店でキャラメルコーンを買って、それを抱えて港まで散歩する。
 
「なーくん、スキップって知ってる?」
 
そういってある日おばあちゃんは、田んぼ道を軽やかにスキップしてみせた。
このおばあちゃんのスキップレクチャーは、今でも強烈に覚えている。
なんせとっても楽しそうだったからだ。
このとき、とてもいいことをおばあちゃんが言ってくれたような気がするのだけど、イマイチ思い出せない。「楽しいときはスキップするのよ」的なことだったはず。
 
最後にスキップしたのなんて、いつだろう。
もしかしると、もう一生スキップなんてしないんじゃないか?
そう考えると、おばあちゃんになってもスキップする気持ちを無くしてなかった僕のおばあちゃんは、とびっきり人生楽しんでたのかもしれない。
 
そうしてハトにエサをやって満足すると、帰りはバスに乗って帰ることで決まっていたのだった。あまり覚えてないのだけど、きっとその頃乗り物が好きだったのだろう。
バスの車窓から流れる景色とおばあちゃんのひざの上の温もりはよく思い出せるのだけど、そこからの記憶がほとんどないのは、きっといつもおばあちゃんに抱かれて眠っていたからだと思う。
 
と、そんなことを思い出し、くっそ寒くてもなんだかほっと温かい気持ちになった頃、ちょうどバスがやってくる。
 
が、1秒も止まらず走り去る。
 
 
え!!!!!!
 
w。
ちょ、え!!!!!!
なんで!?なんで今シカトしたの!?
あまりの一瞬の出来事で、僕はそのシュールさに笑いを堪えながら、ぷらぷら散歩しながら次の次の次の次の次あたりのバス停を目指して歩くことにした。
 
 今までの僕だったら、ソッコーでバス会社に電話して「ふざけんなUターンして戻ってくるかタクシー1台ここに手配しろしばくぞタコ」とか平気で言っちゃいそうなのだが、僕はある意味悟りを開いたのだ。郵便局に今日中にたどり着けばそれでいいのだ。
 
と、ぷらぷら写真撮ったり、探検したり、魚釣りしてるおっちゃんに絡んでみたりしながら、バスの路線を歩いていると、腰の曲がったおばあちゃんが一人、道でずーんと立っている。立っているというより、時が止まったかのように動かない。
ん?と思いながら、一応声を掛ける。
「ばあちゃん、どうかしたの?」
ばあちゃんは死ぬほど素敵なスマイルで
「バス待ってるんよ」
と答えた。
いや、たぶんもうすぐバス来るけど、バス停まだ先だぜ。
ばあちゃんの速度じゃ間に合わねーぞおい。
「バス停まだ先よ?間に合わんのじゃない?」
と聞くと、これまた笑顔で
「ここで手挙げたら停まってくれるんよ」
と。
 
んなバカなと思いながら、僕も一緒に待つことにする。
すぐにバスが来て、おばあちゃんが手を挙げる。
といっても、めちゃ小さいばあちゃんなもんで、
手を挙げても挙げてる感はない。w
僕もなんだかちょっと照れくさい気もしながら手を挙げてみる。
 
 
ほんとに停まりやがったバスの野郎
 
 
なんだ!?
田舎のバスのルールがよくわからんのだが。
バス停で待っててもシカトされるときもあれば、
バス停一切関係ないところで乗せてくれる優しさももつ。
 
 
今さらツンデレ流行とかやめとけよ
 
 
ん、まあ乗れたからいいんだけど。
そのあとも、バス停ではないところで何人か乗車してきた。
田舎はいいね。なんだかとても自由だ。

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25年ぶりのバスの車窓から眺める景色。
まるで海の上を走っているかのように、気持ちがいい。
「僕がボタン押すからね!」と意気込んで、
押すことなく眠ってしまい、見上げるばかりだった降車ボタンや、
少しかび臭くホコリっぽい座席や、大げさな振動や――
もうおばあちゃんと一緒に乗ることは叶わないのだけども、
窓から差し込む暖かな日差しはぽかぽかと、
おばあちゃんの温もりを思い出させてくれるのでした。