前のめりに生きる。一歩踏み出せば決してコケはしない。

生きるって大変、でも、だからこそ素晴らしい!

第50歩 生まれてこの方50余年、田舎を出たことがない女性が大阪へ行くことの大変さについて

 
ええ、僕の叔母の話です。
 
叔母は、身内の僕が言うのもなんだが、とても50代には見えない若さだ。
若い頃は、田舎から列車で2時間の地方都市に出かけた際、モデルのスカウトや吉本新喜劇のスカウトを何度も受けたことがあるというなんだか笑っちゃう逸話を持っていて、くそド田舎の両親に頭を下げに来た芸能事務所もあった程らしい。
僕のママンと歩いていると、必ず「あら、娘さん?」と聞かれ、本人はその度に嬉しそうに微笑む。その隣でママンは、とても面白くなさそうなのである。もちろん、ママンは田中〇紀子に激似な不機嫌っぷりだ。笑
決して無理に若作りしたり、化粧が濃いわけでもない。
ので、ある程度はやはり老いも感じる今日この頃ではある。
 
当然、結婚のお話やお付き合いの話もたくさんあったが、なぜか叔母は全て断って生きてきた。にも関わらず、本人の口癖は「お嫁に行けなくなったらどうするのよ」である。
 
好きな俳優は瑛太。w
 
そんな叔母が、11月に前職のOB会が大阪で開催されるためそこに行きたいとのこと。
が、「どうやって行けばいいのか分からんのよ」とのことだった。
 
このブログを読んでくれている方たちは、そもそもPCやスマホ、ネットを使いこなしている人だから、住む場所が都会でなくとも、歳や場所関係なく今の世の中に沿っている人たちだと思う。
が、ネットの世界など宇宙の銀河系よりも遠くに感じる人たちもこの世には存在する。
 
四国のド田舎を出発し、大阪の森ノ宮付近でOB会に出席、1泊して帰ってくる。
たったこれだけのことである。
ネットならほんの15分で済む話だ。
 
叔母は、懸命に化粧を始める。
僕「どこ行くの?」
叔母「え、旅行代理店」
僕「何しに?」
叔母「大阪行きのこと相談するの」
 
なるほど。
商店街の70%が空き店舗状態のド田舎でも、なんとか商売を続けれているお店は、
必ずしも時流、流行に乗れていたり、工夫と努力で続いているわけじゃない。
波に乗れていない客のおかげで続いている店もあるのだな。
波に乗れずにゆらゆらと大海原を漂って戻ってくる人々を、砂浜で座って眺めながら「はいおかえり」と受け入れるのだな。くそっ、なんて商売しやがる。
 
お客さんを奪う気はないが、行く前に少しくらい教えてあげてもいいだろう。
以下、叔母をみーちゃん(仮)と呼ぶこととする。実際もちゃん付けだ。
 
僕「みーちゃん、今はね、ネットでなんでも予約できるんだよ」
叔母「でも、分かりやすいところとか、安いのはやっぱり代理店行かなきゃでしょ?」
僕「そうだね。でも、ネットでもネット上の最安値探せるし、地図で最寄り検索できるんだよ」
叔母「・・・。じゃあ、ちょっと見てみよかな」
 
と、二人でタブレットPCの小さな画面を覗き込む。
 
僕「何で行きたいの?」
叔母「何って?」
僕「飛行機か夜行バスか電車かフェリー」
叔母「うーん、飛行機」
僕「マジ?乗れる?大丈夫?」
叔母「乗ったことくらいあるわよ失礼な。片道3万くらいで行けるんでしょ?」
僕「今の世の中3万あったら下手したら上海2回行けるノリだよ」
叔母「上海って、そこの・・・」
僕「ううん、商店街裏の呑み屋じゃないんだよ、みーちゃん。海外」
叔母「・・・」
僕「・・・」
叔母「パスポートか・・・」
僕「いや、行かなくていい」
叔母「・・・」
僕「・・・」
 
世の中の社会人が忙しくせっせと働いている平日の昼下がり、こんなくだらない会話で無言で見つめ合う人たちがこの世にはいる。w
ちなみに、叔母は地方ではイケてる方の企業の正社員であって、この日はたまたまお休みだった。決して僕みたいなゲスではない。
 
僕「飛行機めちゃ空いてるよ。何時がいい?飛行機だと大阪まで1時間かな」
叔母「一番早いの」
僕「え、OB会何時からなの?」
叔母「夕方から」
 
どうして朝一に乗る必要があるんだ
 
まあこんな具合である。
とりあえず、交通手段はどれも空席があるため、まあゆっくり考えなよと後まわしにする。宿泊パックもあるが、今回はバラで予約した方がよさそうだ。
 
11月の休日なんて、関西圏のホテルはまあ埋まる&くっそ高い。
京都の紅葉を楽しむ観光客が、京都を溢れてその周辺に泊まるのだ。
案の定、梅田駅周辺のホテルはほぼほぼ埋まっていた。
もしくは、1泊一人25,000とかのレベルだ。
ので、地下鉄1本アクセスで10,000というのを見つける。
 
叔母「だめ。梅田駅近くじゃないと迷って帰れなくなる。高島屋とか、デパートで買い物したい。迷ってる場合じゃない」
僕「大丈夫だよみーちゃん。地下鉄1本だから」
叔母「だめ、絶対迷うもの。梅田駅の近くのホテルがいい。いくら?」
僕「25000とか」
叔母「それでいい」
僕「みーちゃん、僕が一緒について行ってもまだ安いよ。そうしようか?」
叔母「うーん」
僕「ちなみに、梅田駅の中は自信ありなの?」
叔母「だいぶ前だけど行ったことある。大丈夫」
僕「ちょっと前に工事してまあ変わってるよ?」
叔母「・・・マジ?リフレッシュ?」
僕「マジリフレッシュ。じゃあ、OB会の会場から1km程離れたところのホテルは?徒歩がイヤならタクシーでOKだよ」
叔母「だめ。人さらいに遭ったら怖いもの」
 
人さらいって。ww
 
ギャグかと思うが、くそ真面目な顔して言うのだ。
ちなみに、叔母のギャグセンスは僕の8万倍はある。
こんな田舎にいて、お笑い番組も観ないしマンガも読まない。よくもそんなに面白い話ができるもんだといつも感心する。生まれもってのエンターテイナーなのかもしれない。
 
結局、この日は解決に至らず、代理店に行くこともなく終え、くだらない話をきゃっきゃ言いながら楽しんで終わる。
 
 
その昔、人類は住む場所によって肌の色を変えた。
紫外線を多く浴びるアフリカだったり、メラニン色素の分泌をさほど必要としない欧米だったり。
 
今、田舎に適応するために僕が求められていることはなんだ?
田舎に暮らすとは、何色の肌が有利だ?
決して、叔母や田舎に暮らす人々に憐憫の情を向けているわけでも、差別しているわけでもない。
むしろ高貴であるとすら思う。
がしかし、なんだかより一層、志をしっかり持って毎日を過ごさねばと感じたのだ。
 
「何かを始めるのに遅過ぎるなんてことはない」
これはまあ良く聞く。でも、実は、もっと大事な考え方はないだろうか。
すでに遅れた立ち位置で、しかもなぜ上から目線なんだ。
いや、素敵な言葉だけど。
 
「何かを始めるのに早過ぎるなんてことはない」
 
こっちの方がこれからやるぜってエネルギッシュな感じがする。
 
ちなみに、僕の叔母は過去に一度大阪に行った際、道に迷うのが心配&飛行機の乗り方が不安だったため、フライトの4時間前に伊丹空港に到着し、空港内を隈なく探検したそうだ。
 
何かを始めるのに早過ぎるなんてことはない。
早過ぎるなんてことはないのだが、
 
あんたは早過ぎ